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  • 執筆者の写真K T

herという映画のお話



今回はいつもとは趣向を変えて、



最近みた映画のお話をさせて頂きます。



 
・はじめに


her 世界で一つだけの彼女」は2013年公開のアメリカ映画です。



本記事は映画のネタバレになるような内容を含んでいるので、作品を未鑑賞の方は特にご注意下さい。


 

・映画のあらすじ


舞台は近未来のロサンゼルス。主人公の「セオドア・トゥオンブリー」は代筆ライターとしての仕事をしていました。



妻「キャサリン」とは別居生活が続いており、日々もんもんとしながら仕事に向かい、真の友人と呼べる人も居ない中での生活を送る。



そんな時世界初の人工知能型OSである「サマンサ」を手に入れる。



サマンサを起動させPC相手に会話をすることに最初は抵抗感を持っていたが、

段々と心を開き日常に笑顔を取り戻していく。




日常の生活をサマンサと共にすることで次第に互いの心が惹かれ合っていき、




ハーバード大学出身の女性とデートした日、上手くいかなかったセオドアサマンサが寄り添った流れで、その夜2人は合体した。






こうして2人は結ばれたのだった。








そして物語のラスト、2人に訪れた運命とは。。



 
・本作の特徴


本作の監督は「かいじゅうたちのいるところ」でメガホンを取ったことでも知られる

スパイクジョーンズ監督。本作は彼自身が脚本を書き、メガホンを取った。



本作品はアカデミー賞でも多くの賞を獲得し、監督自らも脚本賞を受賞した。


 

~メインキャスト~

セオドア・トゥオンブリー:ホアキン・フェニックス


エイミー:エイミー・アダムス


キャサリン:ルーニー・マニーラ


ポール:クリス・プラット

 
 
・本映画の考察



正直な話、とても面白かった。



この作品は序盤のシーンからセオドアの人生のどん底を描いているのだが、

それとは対照的な、カラフルでどこか温かみを感じる画によって、セオドアの心情がより浮きだって出てくるような印象を与えられる。




物語りを見てくと分かるのだが、本作では回想シーンを一気に見せるのではなく、

今というベクトルの間に細切れのような感覚で入れてくるのだ。




そしてその細切れで入れてくるタイミングはセオドアサマンサがたわいもない話をしている時や、サマンサとの絡みが濃くなってきたとき。



回想の内容もキャサリンと過ごした幸せな日常の一分が切り取られて出てくる。



本作を見ながら僕は思わず共感してしまった。。




僕も長年、とまでは行かないが、しばらく付き合っていた女性と別れた経験がある。



分かれた後に彼女のことを思い出すことがあったのだが、



まさにこの作品に描かれているようなタイミングで思い出していたのだ。




ほんとにたわいもない時や、幸せを感じている時。ふっと頭の中に出てくるその感覚が、まさにこの映画の表現と一致していたので驚いた。



ここまで読んで頂ければ分かるかと思うが、



人間の自然な心理を映像に表しているのだなぁと思う。




ここの部分で共感された方にもう一つお伝えしたい。



それはこの作品の描かれ方だったからこそ、セオドアに寄り添った見方を出来るのではないだろうか。ということ。



映画の主人公と自分の心情を共有できるのって、いいですよね。。



 
・セオドアの仕事から見る彼の生き方

セオドアは代筆ライターという、いわば「誰かの代わりに事を成す」という仕事をしている。



なぜ、彼はこの職業に就こうと思ったのだろうか。



僕なりの解釈にはなるが、彼自身が「誰かに決めてほしい生き方」をしている人だからだと思う。(良く言えば根からの真面目ということ)



ハーバード大学の女性とのデートシーンで、結婚を本気で迫られたセオドアは、結局引いてしまう。




ここにセオドア意思の弱さ・決断力のなさが描かれていると思ったのだが、





それと同時に「セオドアの根からの真面目さと優しさがあふれてるなぁ」と思った。





人間大きな決断をするときは迷い、考えるもの。



キャサリンとの離婚書類もセオドアは物語の後半まで中々書き出せずにいた。



それはセオドアなりの優しさであり、でも伝え方が不器用だから、周りから誤解を生んでしまう「真面目」な性格を持ち合わせているんだと思う。




物語の最後の部分でサマンサが反応しなくったシーン。




何回も機械をタッチし、人目も気にせずサマンサを呼びかけ、何も持たずに家に帰ろうとした彼の姿。とても人間性のある優しさが表面に出てきた代表的なシーンの一つだと思う。(この後サマンサからほんとのことを聞かされるのだが・・・。)


 

・なぜ近未来という時代設定なのか

映画というのはシーン、時代背景、キャラクターなどの全てにおいてなにかしらの意図があって作り上げられているもの。




全てにフォーカスを当てて喋ることはできないので今回は個人的に気になっていた、

時代背景」について考察をして終わりにしたいと思う。



今回の物語の主体はAIので、必然的に未来の世界が描かれるものだとは思った。




だが世界的にみてもそもそもAIならぬ、

インターネットすら現在ほど普及していなかった時代。



なぜAIに主軸を当て、そこでのラブストーリーを描いたのか。




それは「将来的にそういう事柄が常識として存在し始める可能性が高い」ことを予想していたからではないだろうか?



物語の中盤や後半で、耳にはワイヤレスイヤホンを付け、AIと思われるものに語り掛ける人の流れが映し出されている。これは世の中に常識としてAIが組み込まれている始めているということを示唆しているのでないだろうか。




ここであえて「組み込まれている」と言い切らず「組み込まれ始めている」と書いたのには訳がある。



それはセオドアキャサリンに離婚届けをサインさせたシーン。



彼女はPC(サマンサ)に恋をしているセオドアに対して明らかに冷ややかな態度を取り、軽蔑している。この描写からまだ、世の中の全てがAIに染まっている訳ではなく、そうなり始めていることを表しているのではないだろうか。(世界初のOSとも言われていますね)




そう遠くはない未来にこういう時代が訪れるかもしれないといことが、

良く伝わってくる作品だった。


 
・終わりに

如何でしたでしょうか?



AIとの恋愛を描いた本作品。



周りに理解されなくても恋は恋。




決めごとが苦手なセオドアでしたが、

「AIだろうと、好きなものは好きであって、僕にはあなたが必要」という感情を貫き通していたことに、最後気づかされる作品です。





最後までご覧頂きありがとうございました。







それでは。


 

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